miracleでsurpriseな

ある日、いつものように友人が遊びに来て。
なぜか問答無用で置いていったそれは…なんとも毒々し…じゃなかった、鮮やかな液体。

えっ…。
なにこれ…？

呆然とソレを見つめる。
美麗なグラスに注がれた、素晴らしく発色のいい液体。
眺める分には悪くない…けれど。

…グラス、ということは。
これ、飲み物？

飲み物…。

でも、何故だろう。
時々、動く…様な気がしなくもない。
miracleと名づけられたソレは、本当にmiracleすぎた。

どうしたらいいかわからないまま冷蔵庫に押し込み、問題を先延ばしにして…
翌日。
今度は別の友人が遊びに来てくれた。

チャンス。

アレをぜひとも提供しよう…。
そんなことを考えて迎え入れるも、なぜか彼女はそわそわと気も漫ろのよう。
おかしいな、アレのことを知っているわけでもないだろうに。
不思議に思っていると、彼女は手にしていたメモを押し付けるように渡すと…。

いきなり、脱兎のごとく逃げ出した。

Σ（￣□￣；！？

「ちょっ…、ど、どうしたのー！？」

慌てて追いかけるも、もう彼女はいない。
いったい何がおきたの…。
連続で、別の2人に別の意味で呆然とさせられた。
けれどなんだか、それが妙に嬉しく、楽しかった。

気を取り直し、メモを確認する。
そこにはある場所の住所が書かれていた。
訳もわからずたどり着けば…。
そこには、肖像画が置かれていた。
自分の…ハロウィンの仮装をした姿の…。

驚いた。
なんてサプライズなプレゼント。

彼女が絵を描くのは知っていた。
ハロウィンの依頼を募集していることも知っていた。
でも、自分にとっては、絵師である前に友人だった彼女。
そんな彼女に依頼をするということは、友情を利用するようで少しだけ後ろめたくて。
だから、黙ってた…けど。

ごめん、ちょっと泣いていいかな？
なんだか凄く嬉しいよ。

奇跡と驚きの24時間。
だから、どちらもありがたく頂きます。
とても嬉しい夜に乾杯をしよう。
うん、今なら、あのmiracleさえ飲み干せる気がします。

肖像画を自宅に飾ると、そのまま冷蔵庫へ向かう。
冷え切ったグラスを手に取り、微笑みに近い笑顔を浮かべた。

それぞれ、意表をつくプレゼントをくれた2人の友人たちに…。
乾杯。