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なんとなく手持ち無沙汰だったので、湖畔の散歩に出かけた。
自然に満ち溢れ、汚染とは無縁の、水の気配に満ちた気持ちの良い場所。
やはりここを選んで正解だったと思う。
作物は日々その品質を良くしているように思える。
引っ越して2日目だというのに、すでに品質は6-。
この分ならすぐに最高品質まで上がるだろう。
きっと収穫数も期待できるんじゃないかな。
湖の淵に座り、ぼんやりと水に映る月を眺める。
あたりに漂う霧が風景をさらに幻想的に見せていた。
なんて綺麗なところなんだろう。
どれだけそうしていただろうか。
ゆっくりと湖上の霧が集まってきた。
微笑んで手を伸ばすと、そっと手が上向けられ、そこに霧が溜まり水となった。
空気中に漂っていたとは思えない、綺麗に澄んだ水。
「飲めってことかな?」
問うと、答えるように残りの霧が寄り添う。
銀の髪に水滴が付着し、月の光を浴びて宝石のように煌めく。
感謝を込めてもう一度微笑を浮かべ、手のひらに溜まった水に口をつけた。
甘く、まろやかな極上の水。
「ありがとう」
思いがけない歓迎がとても嬉しかった。
そのまましばらく水と遊び、岐路に着く。
寝ているかもしれないリュークを起こさないよう、そっとドアを開けると、話し声が聞こえてきた。
声はリュークのもの。
ケルロンであるリュークは耳も鼻もいい。普段なら、起きていればすぐにレイの帰宅に気付く。
いつもは帰宅後すぐに出迎えに来てくれるのに、今日はそれがない。
リュークの独り言ではなく、帰宅に気付かないほど集中して誰かと話している、ということか。
でも、こんな夜中にお客様が来てるの? ……誰だろうか……心当たりはないけれど。
不思議に重い、声を頼りに進んでみる。
そこは居間でもなく、リュークのために家の中に設置した犬小屋ではない……台所。
その隅に隠れるようにリュークが座っていた。
目の前には誰もおらず、かわりに光の玉が浮かんでいる。
あれはいったいなんだろう。
「いや、心配することないと思うよ。新しい家も問題なしだね。水辺だし、レイにはいい所だと思う」
私のことを話している?
誰と?
「リューク?」
声をかけると、慌てたようにリュークが飛び退る。
その瞬間に光の玉は消えた。
「レ、レイ? 帰ったんだ」
「うん、今さっきね。……それより、どうしたの?」
そこにはリューク以外誰もいない。
独り言にしては不自然な、光に向けたリュークの言葉と、行動。
なぜこんなにも慌てるのだろう。
疑問は山盛りだった。
けれど。
「なんでもないよ」
先ほどの慌てようが嘘だったとしか思えないほど、さらりと言う。
「魔法の勉強してたんだ。ちょっと必死になっちゃってさぁ。帰ってきたの、気付けなくてごめんね」
魔法の勉強。
それにしては不自然すぎる。
会話を聞かれたのならば、これが不自然な説明だとリューク自身わかっているだろう。
けれど、それでも隠さなければいけない何かがあるということか。
「そっかぁ、勉強なんてすごいじゃない。それなら気付かなくても仕方ないない」
疑問は疑問のままだけれど。
それでも笑い飛ばして、なかったことにしてしまおう。
隠したいならば仕方がない。
無理に聞いても困らせるだけだ。
こんな役にも立たないダメ飼い主を、それでもリュークは慕っていてくれるのだから。
だから、隠し事のひとつやふたつ、あったとしても。
……さみしくはあるけれど……しかたないよね。
「遅くなってごめんね。ご飯にしようか」
「うん、賛成~♪」
嬉しそうに尻尾を振るリュークを台所からひとまず追い出し、下ごしらえしておいた食材を手にする。
自分は調理をする。
リュークはそれを待つ。
いつもどおりの行動。
だから、そうでないリュークの一言は、聞き流すことにした。
台所から出る瞬間、彼女がポツリとつぶやいた言葉。
「ごめんね」
その小さな一言を
聞こえないふりをして、調理を続けた…。
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貴方は 人目のお客様
誕生日:08/12/01
HP:水夢 -水の見る夢-
足跡:
42 09 21 06 23 41 42 39 24 17 20 40 42
-NPC-
うさぎ:ライラ、リナ、ルナ、レナ、ロビン
保護者:ロスト
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