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大切だから 1/2
知らずに歌など口ずさみながら、うれしそうに茶を注ぐ。
「はい、お待たせ」
渡す相手は、同じ家に住む最愛の人。
ここのところずっと体調を崩していて、ゆっくり話すこともできなかったが、今日は違う。
無茶をしなければ、それなりに起きていられる程度まで回復していた。
「本当に、心配していたのですよ」
少しだけ拗ねたようにお茶を差し出す。
「それは申し訳なかったね。でも、休養を取ったおかげでだいぶ良くなったよ」
そういって、東雲はぽふぽふとレイの頭を軽くたたく。
それは彼の癖。
子供をあやすような仕草だが、心が篭っていることがわかるから嬉しくて、安心できる。
「それでも、まだあまり出歩かないでくださいね」
思わずそう呟いてしまうのは、やはりそれまでの東雲の体調が悪すぎたせいだ。
レイはここしばらくのことを振り返る。
毎日が不安と心配の中にあった。
会話をするにしても、東雲の声はかすれ、咳交じり。
それでは長く話していることなどとてもできない。
早々に布団へと追い立てる毎日だった。
それでも東雲は、お互いの時間が合う限り、日に一度は必ずレイとの時間をとった。
嬉しいと同時に困惑する。
(もしかしたら、私が東雲さんの完治を遅らせているんじゃないかな…)
何度「自分の体を大切にして」と頼んだだろう。
その度に帰ってくるのは、「レイさんと話せないと寂しくてね」という言葉だった。
寂しいのは自分も同じで、だからこそその気持ちがわかって。
無理をさせない程度にという妥協点を探して毎日を過ごしていた。
その日、食卓に並んだのは生姜粥。
おかずには梅干を筆頭とした漬物各種、シラスのおろし和え。
デザートに焼き林檎と花梨の蜂蜜漬け。
とりあえず体にいいものをと考え、本を読んで体によさそうなものを揃えてみた。
自分も同じものを食べる。
一緒に暮らしている以上、別々の食事はできるだけ取りたくない。
ありがたいのは、体調が悪くても食欲が落ちていないことか。
食事は全部食べてくれる。
食べてくれればそれは栄養となる。
ときどき体調への確認を入れながら、短い時間を会話に費やして日々を過ごす。
ゆっくりと回復に向かいながら、それでも時々悪化した。
声もろくに出せず、歩くこともままならないような状況。
それでも会話をしようとリビングに出てくる東雲を見て、慌てて布団へと追い立てる。
「こんな状況で何してるんですか!」
そんなときは本気で怒ったものだ。
いや、こんな状況で一人にさせてしまった自分が悪いのかもしれない。
(それとも自分がいるからいけないのか…)
そうは思うものの、やはり放っておくことはできない。
水精に頼んで、できるだけ清らかな清水を用意してもらって。
こまめに水分補給をしてもらいながら、すぐに温む額の濡れタオルを取り替えて。
体は冷やさないように、温度管理をしつつ、湿度にも気を使って。
できるだけ最適な状況に近づける。
一人にさせず、声をかけられればすぐに応じて。
病にかかれば気鬱になりがちになってしまう。
物理的にやれることがなくなってからは、不安を感じさせないことに集中した。
とにかく一晩中傍にいて、ずっと様子を見ていた。
傍にいて、手を握っていた。
いつもより熱いその手に、涙がにじむ。
基本的に、人の体はずっと眠り続けられるようにはできていない。
眠れもしないのに、早い時間から黙って横になっていろと言うのは酷だと、理解している。
しては、いるけれど……。
自分の無力感を味わいながら、月に祈った。
早く元気になりますように。
何も気にすることなく一緒にいられますように。
誰よりも大切なこの人が、苦しむことがないように。
足りない時間に嘆くことがないように。
そしてもう一度、これまでの生活を取り戻すために。
東雲は、ちょっとした無理なら通してしまう。
普段から心配だったその癖が、今は心配を通り越して、怖い。
それは彼の性格だから、受け入れなくてはいけないのかもしれないけれど……。
「駄目だよ、東雲さん」
今は満足に手入れができず、伸び始めた髪。
それが、病の長さを物語る。
「傍にいるから…大丈夫だから…治すことに専念していきましょう?」
熱で温まってしまったタオルを取り替えながら、眠る東雲に向かいそう呟いた。
あれはそう遠い日のことではないけれど。
一進一退を繰り返しながら、それでも今ではだいぶ良くなった。
自分の前だけではなく、時々人前に出ることもできるようになったけど。
「やっぱり、心配なのですよねぇ」
そうぼやいてしまうのは、東雲の性格が変わったわけではないから。
楽観視していたらまた無理をするだろう。
しばらくは、自分が注意してみてないといけないかもしれない。
「まだ、遅くまで起きてるのは禁止ですよ」
うるさいことを言っている自覚はある。
しかもかなり個人の行動に口を出している。
本来なら気が引けてしまうけれど……。
大切な、人だから。
だからこそ、今回だけは自惚れて。
『自分が彼にとって特別なら、わがままくらい言ってもいいはずだ』と、そう思うことにして。
「二人とも翌日の予定がないときは、私が体調見張ってられますから例外として認めますけど。そうでないときに起きてたら叱ってもらえるように周知しておきますから……覚悟しておいてくださいね?」
上から目線なのは、そうでもしないとまた無理をされそうだと思うから。
わざと意見を押し付ける形をとった。
忍びというものはあまり自分を大切にしないのだろうか。
それとも単に東雲だけがそういう性格なのか。
この恋人に、何よりも自らの体を大切にするということを理解させるには、どうしたらいいのだろう。
時間をかけてでも、レイにとってどれほどに大切な存在なのかを彼に理解してもらっていかないと……。
とても難しそうなことだが……それでも。
少しずつ、ゆっくりとでも。
頑張っていくしか、なさそうだ。
渡す相手は、同じ家に住む最愛の人。
ここのところずっと体調を崩していて、ゆっくり話すこともできなかったが、今日は違う。
無茶をしなければ、それなりに起きていられる程度まで回復していた。
「本当に、心配していたのですよ」
少しだけ拗ねたようにお茶を差し出す。
「それは申し訳なかったね。でも、休養を取ったおかげでだいぶ良くなったよ」
そういって、東雲はぽふぽふとレイの頭を軽くたたく。
それは彼の癖。
子供をあやすような仕草だが、心が篭っていることがわかるから嬉しくて、安心できる。
「それでも、まだあまり出歩かないでくださいね」
思わずそう呟いてしまうのは、やはりそれまでの東雲の体調が悪すぎたせいだ。
レイはここしばらくのことを振り返る。
毎日が不安と心配の中にあった。
会話をするにしても、東雲の声はかすれ、咳交じり。
それでは長く話していることなどとてもできない。
早々に布団へと追い立てる毎日だった。
それでも東雲は、お互いの時間が合う限り、日に一度は必ずレイとの時間をとった。
嬉しいと同時に困惑する。
(もしかしたら、私が東雲さんの完治を遅らせているんじゃないかな…)
何度「自分の体を大切にして」と頼んだだろう。
その度に帰ってくるのは、「レイさんと話せないと寂しくてね」という言葉だった。
寂しいのは自分も同じで、だからこそその気持ちがわかって。
無理をさせない程度にという妥協点を探して毎日を過ごしていた。
その日、食卓に並んだのは生姜粥。
おかずには梅干を筆頭とした漬物各種、シラスのおろし和え。
デザートに焼き林檎と花梨の蜂蜜漬け。
とりあえず体にいいものをと考え、本を読んで体によさそうなものを揃えてみた。
自分も同じものを食べる。
一緒に暮らしている以上、別々の食事はできるだけ取りたくない。
ありがたいのは、体調が悪くても食欲が落ちていないことか。
食事は全部食べてくれる。
食べてくれればそれは栄養となる。
ときどき体調への確認を入れながら、短い時間を会話に費やして日々を過ごす。
ゆっくりと回復に向かいながら、それでも時々悪化した。
声もろくに出せず、歩くこともままならないような状況。
それでも会話をしようとリビングに出てくる東雲を見て、慌てて布団へと追い立てる。
「こんな状況で何してるんですか!」
そんなときは本気で怒ったものだ。
いや、こんな状況で一人にさせてしまった自分が悪いのかもしれない。
(それとも自分がいるからいけないのか…)
そうは思うものの、やはり放っておくことはできない。
水精に頼んで、できるだけ清らかな清水を用意してもらって。
こまめに水分補給をしてもらいながら、すぐに温む額の濡れタオルを取り替えて。
体は冷やさないように、温度管理をしつつ、湿度にも気を使って。
できるだけ最適な状況に近づける。
一人にさせず、声をかけられればすぐに応じて。
病にかかれば気鬱になりがちになってしまう。
物理的にやれることがなくなってからは、不安を感じさせないことに集中した。
とにかく一晩中傍にいて、ずっと様子を見ていた。
傍にいて、手を握っていた。
いつもより熱いその手に、涙がにじむ。
基本的に、人の体はずっと眠り続けられるようにはできていない。
眠れもしないのに、早い時間から黙って横になっていろと言うのは酷だと、理解している。
しては、いるけれど……。
自分の無力感を味わいながら、月に祈った。
早く元気になりますように。
何も気にすることなく一緒にいられますように。
誰よりも大切なこの人が、苦しむことがないように。
足りない時間に嘆くことがないように。
そしてもう一度、これまでの生活を取り戻すために。
東雲は、ちょっとした無理なら通してしまう。
普段から心配だったその癖が、今は心配を通り越して、怖い。
それは彼の性格だから、受け入れなくてはいけないのかもしれないけれど……。
「駄目だよ、東雲さん」
今は満足に手入れができず、伸び始めた髪。
それが、病の長さを物語る。
「傍にいるから…大丈夫だから…治すことに専念していきましょう?」
熱で温まってしまったタオルを取り替えながら、眠る東雲に向かいそう呟いた。
あれはそう遠い日のことではないけれど。
一進一退を繰り返しながら、それでも今ではだいぶ良くなった。
自分の前だけではなく、時々人前に出ることもできるようになったけど。
「やっぱり、心配なのですよねぇ」
そうぼやいてしまうのは、東雲の性格が変わったわけではないから。
楽観視していたらまた無理をするだろう。
しばらくは、自分が注意してみてないといけないかもしれない。
「まだ、遅くまで起きてるのは禁止ですよ」
うるさいことを言っている自覚はある。
しかもかなり個人の行動に口を出している。
本来なら気が引けてしまうけれど……。
大切な、人だから。
だからこそ、今回だけは自惚れて。
『自分が彼にとって特別なら、わがままくらい言ってもいいはずだ』と、そう思うことにして。
「二人とも翌日の予定がないときは、私が体調見張ってられますから例外として認めますけど。そうでないときに起きてたら叱ってもらえるように周知しておきますから……覚悟しておいてくださいね?」
上から目線なのは、そうでもしないとまた無理をされそうだと思うから。
わざと意見を押し付ける形をとった。
忍びというものはあまり自分を大切にしないのだろうか。
それとも単に東雲だけがそういう性格なのか。
この恋人に、何よりも自らの体を大切にするということを理解させるには、どうしたらいいのだろう。
時間をかけてでも、レイにとってどれほどに大切な存在なのかを彼に理解してもらっていかないと……。
とても難しそうなことだが……それでも。
少しずつ、ゆっくりとでも。
頑張っていくしか、なさそうだ。
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HP:水夢 -水の見る夢-
足跡:
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-NPC-
うさぎ:ライラ、リナ、ルナ、レナ、ロビン
保護者:ロスト
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即決はあまりないけど、まずは気軽に声かけて下さいね。
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