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旅立ち
先ほど、生まれ育った国を出た。
無我夢中でカーシャにたどり着いた初日を抜かせば、初めての、国に庇護されない生活が始まる。

海岸に座り、月が照らす海を眺める。
マリアンルージュまでは、3日間を想定しているが…。
改めて地図を見やり、さてどうしようかと眉を顰めた。


カーシャを出て、そのまま船で向かえば一番早いのだろうと思う。
西の海を通れば、それほど遠くもない。
こちらには、龍であるロストがいる。
海の事故は怖くない。
それどころか快適で迅速な旅が楽しめるだろうけど…。

「毎日お魚…は…遠慮したいなぁ…」

どこにも立ち寄らず、目指すだけならすぐだろう。
しかしそれでは、食料の調達ができない。
自給自足ならば、魚介類のみとなるのは必然で。

「野菜…野菜ぃ…」

魚は好きだ。毎日出たとしても文句は言わない。
けれど野菜は不可欠だった。
事前に用意した物だけでは、足りない。
自分の好みの問題もあるが、それ以上に、うさぎであるライラにとっては死活問題となる。

やはり上陸しての食料調達は必須だろう。
だとすると、どの道を行くのがいいのか……。

上空の、レイに煙が届かない位置で煙草を吸っていたロストが、降りないまま提案する。

「一旦ネウガードに行くのはどうだ。王宮に入れなくても城下町通ることはできるだろ。補給したらまた海路でツェンバーに向かって、船を処分したら徒歩でMRに入国すればいい」
「うん、それが一番かな」

砂浜に座ったまま振り仰ぐ。
人一人分ほど高い空間に、ロストが胡坐をかいて座っている。
煙が風に流され拡散していくさまをぼんやりと見つめ、ふと、時もまたこんな風に流れていくのかと思った。

この時の流れがどのように作用するかはわからない。
それでも自分は踏み出した。

波間に船が揺れている。
中古で買った、壊れそうな小さな船。
それでも不安はない。
荷物はすでに運び込んであり、後は自分たちが乗り込むだけ。

ロストが煙草を吸い終わるのを待ち、立ち上がると服についた砂を払う。

「行こうか」

ライラを抱え、海水の上を歩く。
沈むことも濡れることもなく、船にたどり着く。
乗り込んで落ち着くと、一度だけ故郷を振り返った。

「行ってきます。いつかまた戻ってくるから」

大切な仲間。
友人。
そして、かけがえのない彼女のいる、カーシャヘ。

深く頭を下げた後、進行方向へと向き直った。
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貴方は 人目のお客様
プロフィール
名前:レイ・フェイク
誕生日:08/12/01
HP:水夢 -水の見る夢-
足跡:
42 09 21 06 23 41 42 39 24 17 20 40 42
-NPC-
うさぎ:ライラ、リナ、ルナ、レナ、ロビン
保護者:ロスト
家族募集してみる。
活動範囲が被る人優先。
即決はあまりないけど、まずは気軽に声かけて下さいね。
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