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月の下で
深夜――十二夜の月が照らす湖。
その湖面。
つま先がギリギリ触れぬ位置に、静かに少女が浮かんでいた。
少女は深く息を吸うと、伸ばしたままの手を軽く横に広げる。
「水よ…我が名に従い、我が祈りに応えよ…我が名は――――――」
少女が名乗ると、彼女の左右から2本の水が蛇のように伸びた。
水の蛇をそれぞれの手で制し、振り上げるように顔の前で手を交差させる。
蛇は彼女を中心として渦を巻く。
激しい動きに散った水滴が、月光を映して煌いた。
しかし……。
その湖面。
つま先がギリギリ触れぬ位置に、静かに少女が浮かんでいた。
少女は深く息を吸うと、伸ばしたままの手を軽く横に広げる。
「水よ…我が名に従い、我が祈りに応えよ…我が名は――――――」
少女が名乗ると、彼女の左右から2本の水が蛇のように伸びた。
水の蛇をそれぞれの手で制し、振り上げるように顔の前で手を交差させる。
蛇は彼女を中心として渦を巻く。
激しい動きに散った水滴が、月光を映して煌いた。
しかし……。
「まだ弱いわね」
水の上を1匹のケルロンが歩きながら、少女――レイに声をかけた。
その小さな4本の足は、湖面に触れるたび波紋を描きはするが、決して沈まない。
「リューク」
レイはケルロンの名を呼んだ。
集中が途切れ、水でできた蛇は音を立てて湖に戻る。
「あ……」
「ほら。そんなのも維持できなくてどうするの」
リュークは湖面に座り、後ろ足で頭の後ろをかいた。
「水はレイの味方。なのに意識をよそへ向けただけでこの現状」
静かに現実を告げる。
その目は特に厳しい光を宿しているわけではない。
けれど、だからこそレイが自分の無力さをかみ締めるには充分だった。
「まぁ、水に落ちないだけ上達はしたみたいだけど。……水だけは、他の属性とは違う。全面的な信頼を得られれば、寝ていても水はレイのために動くんだけどね」
もちろんそこにいたるまでの道のりは、簡単なものではない。
そこまでとは言わないから、早くレイには力を付けてもらわなければ。
じゃなければ…まだまだレイは『彼』を呼べない。
魔法も召喚も、元は同じ。
その心と魔力の強さだ。
慣れない召喚よりは、より身近な水を従えることから始めた。
結果的にはそれが召喚の基礎的な力も上げることになるはずだから。
ある程度育ってから、召喚の練習に移っていけばいい。
けれどそれは、早ければ早いほどいいと思う。
…少しでも早く…会わせてあげたいのだ。
レイのためにも。
『彼』のためにも。
どちらも再会を願い続けているのだから。
たとえそれぞれの理由が違っていたとしても。
もしかしたら…。
間違っているのかもしれなくても。
「がんばってね」
リュークの言葉に、レイは頷く。
その真意を知らないままに。
「うん、頑張るよ。ありがとうリューク」
微笑を浮かべて言うと、レイは意識を集中するため深呼吸を繰り返す。
円に近い月から降り注ぐ光が、全身を優しく包んでいることを感じる。
いつからだろう。
満月に近いほど、力が安定することに気付いたのは。
月光は不思議な安心感を齎す。
それは水辺にいるときと近い感覚だった。
心はすぐに凪いだ。
意識を向ければ、言葉を待つ水の気配が伝わる。
だいじょうぶ…できる。
「水よ…」
同じ言葉を繰り返し、レイは再び水の蛇を作り上げた。
水の上を1匹のケルロンが歩きながら、少女――レイに声をかけた。
その小さな4本の足は、湖面に触れるたび波紋を描きはするが、決して沈まない。
「リューク」
レイはケルロンの名を呼んだ。
集中が途切れ、水でできた蛇は音を立てて湖に戻る。
「あ……」
「ほら。そんなのも維持できなくてどうするの」
リュークは湖面に座り、後ろ足で頭の後ろをかいた。
「水はレイの味方。なのに意識をよそへ向けただけでこの現状」
静かに現実を告げる。
その目は特に厳しい光を宿しているわけではない。
けれど、だからこそレイが自分の無力さをかみ締めるには充分だった。
「まぁ、水に落ちないだけ上達はしたみたいだけど。……水だけは、他の属性とは違う。全面的な信頼を得られれば、寝ていても水はレイのために動くんだけどね」
もちろんそこにいたるまでの道のりは、簡単なものではない。
そこまでとは言わないから、早くレイには力を付けてもらわなければ。
じゃなければ…まだまだレイは『彼』を呼べない。
魔法も召喚も、元は同じ。
その心と魔力の強さだ。
慣れない召喚よりは、より身近な水を従えることから始めた。
結果的にはそれが召喚の基礎的な力も上げることになるはずだから。
ある程度育ってから、召喚の練習に移っていけばいい。
けれどそれは、早ければ早いほどいいと思う。
…少しでも早く…会わせてあげたいのだ。
レイのためにも。
『彼』のためにも。
どちらも再会を願い続けているのだから。
たとえそれぞれの理由が違っていたとしても。
もしかしたら…。
間違っているのかもしれなくても。
「がんばってね」
リュークの言葉に、レイは頷く。
その真意を知らないままに。
「うん、頑張るよ。ありがとうリューク」
微笑を浮かべて言うと、レイは意識を集中するため深呼吸を繰り返す。
円に近い月から降り注ぐ光が、全身を優しく包んでいることを感じる。
いつからだろう。
満月に近いほど、力が安定することに気付いたのは。
月光は不思議な安心感を齎す。
それは水辺にいるときと近い感覚だった。
心はすぐに凪いだ。
意識を向ければ、言葉を待つ水の気配が伝わる。
だいじょうぶ…できる。
「水よ…」
同じ言葉を繰り返し、レイは再び水の蛇を作り上げた。
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貴方は 人目のお客様
プロフィール
誕生日:08/12/01
HP:水夢 -水の見る夢-
足跡:
42 09 21 06 23 41 42 39 24 17 20 40 42
-NPC-
うさぎ:ライラ、リナ、ルナ、レナ、ロビン
保護者:ロスト
家族募集してみる。
活動範囲が被る人優先。
即決はあまりないけど、まずは気軽に声かけて下さいね。
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