[PR]
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
月下の歌
歌が、聞こえた気がした。
囁きにも似たかすかな歌が。
金木犀が彩る湖畔。
周囲に人の姿はない。
強い芳香の中、花に酔ったのだろうか?
囁きにも似たかすかな歌が。
金木犀が彩る湖畔。
周囲に人の姿はない。
強い芳香の中、花に酔ったのだろうか?
幻聴と片付けて、大分冷たさを増した湖水に足を浸し、日々欠けていく月を見上げる。
もう、何度同じことを繰り返してきただろうか……。
レイ自身、よく飽きないものだと呆れはするが、落ち着くのだから仕方ない。
とはいえ…最近はこんな時間さえ取れていなかったのだと思い出す。
今までできていた、当たり前の生活。それが不完全になっていた。
ふと、考える。
これはいつごろからだろうか? と。
振り返ってみても良くわからない。
いつから自分はこうだったろう。
原因となりそうなものがいくつも重なり、複雑に絡んで。
結局は何が悪いのかさえはっきりとしないのだ。
……少し、疲れているのかもしれない。
レイはそう結論付けた。
やるべきことがあるうちは、気付かない。
忙しさにかまけて、考えることすらしないから、
でも、時間ができてしまうと…色んなことを考えるから。
こんなゆったりとした時間は……
自分にとって、いいことなのか、悪いことなのか。
それすらも判らずにいた。
少し泳いで、気分を切り替えようか。
そう考え、湖に身を乗り出した瞬間。
「まただ…………歌が…」
聞こえた気が、した。
鼓膜を直接刺激する、音としての歌ではなく。
体の中を巡る血液にそっと溶けたような…
そんな感覚。
「これは、何?」
問いかけても答えは返らない。
考えても答えは出ない。
花の香りと。
水の気配と。
弱い月光。
そして、不思議な歌。
夢でも見ているのだろうか。
けれど足に伝わる水の冷たさは本物だ。
氷点下でも苦にならない体だとは言え、冷たいという感覚はわかる。
それを間違えるはずもない。
念のためにと、手の甲をつまむ。
ちゃんと痛みもある……
夢だとは思えない。
けれどまだ、あの歌は自分に届いている。
不思議で不可解な…
けれど不快さはまったくない歌。
優しく、体に溶ける旋律は…いったい、なんなんだろう。
首をかしげて…そしてレイは気付く。
自分の胸元で揺れるこの真紅の宝石。
歌はこの石から自分に溶け込んでいるのだということに。
「……母様?」
以前、ロストから聞いた。
この石に込められた魔力を核とし、ロストがレイを創り上げたと。
『彼女』が命をくれた。ロストが体をくれた。
だから二人は、たとえ血の繋がりがなくても、自分の両親と同じなのだと…。
では、この歌は。
この石から溢れる歌は。
「母様の…歌…?」
月を見上げる。
欠け行く月を。
優しい月光を投げかけながら、けれど何も語らない月を。
溜息を、ひとつ。
この歌には、どんな意味があるのだろうか。
いつかはわかるときがくるのだろうか。
今の自分にはわからなくとも…いつかは。
でも、どれだけ待てばいい?
何もわからないまま、夜は静かにふけていく……
もう、何度同じことを繰り返してきただろうか……。
レイ自身、よく飽きないものだと呆れはするが、落ち着くのだから仕方ない。
とはいえ…最近はこんな時間さえ取れていなかったのだと思い出す。
今までできていた、当たり前の生活。それが不完全になっていた。
ふと、考える。
これはいつごろからだろうか? と。
振り返ってみても良くわからない。
いつから自分はこうだったろう。
原因となりそうなものがいくつも重なり、複雑に絡んで。
結局は何が悪いのかさえはっきりとしないのだ。
……少し、疲れているのかもしれない。
レイはそう結論付けた。
やるべきことがあるうちは、気付かない。
忙しさにかまけて、考えることすらしないから、
でも、時間ができてしまうと…色んなことを考えるから。
こんなゆったりとした時間は……
自分にとって、いいことなのか、悪いことなのか。
それすらも判らずにいた。
少し泳いで、気分を切り替えようか。
そう考え、湖に身を乗り出した瞬間。
「まただ…………歌が…」
聞こえた気が、した。
鼓膜を直接刺激する、音としての歌ではなく。
体の中を巡る血液にそっと溶けたような…
そんな感覚。
「これは、何?」
問いかけても答えは返らない。
考えても答えは出ない。
花の香りと。
水の気配と。
弱い月光。
そして、不思議な歌。
夢でも見ているのだろうか。
けれど足に伝わる水の冷たさは本物だ。
氷点下でも苦にならない体だとは言え、冷たいという感覚はわかる。
それを間違えるはずもない。
念のためにと、手の甲をつまむ。
ちゃんと痛みもある……
夢だとは思えない。
けれどまだ、あの歌は自分に届いている。
不思議で不可解な…
けれど不快さはまったくない歌。
優しく、体に溶ける旋律は…いったい、なんなんだろう。
首をかしげて…そしてレイは気付く。
自分の胸元で揺れるこの真紅の宝石。
歌はこの石から自分に溶け込んでいるのだということに。
「……母様?」
以前、ロストから聞いた。
この石に込められた魔力を核とし、ロストがレイを創り上げたと。
『彼女』が命をくれた。ロストが体をくれた。
だから二人は、たとえ血の繋がりがなくても、自分の両親と同じなのだと…。
では、この歌は。
この石から溢れる歌は。
「母様の…歌…?」
月を見上げる。
欠け行く月を。
優しい月光を投げかけながら、けれど何も語らない月を。
溜息を、ひとつ。
この歌には、どんな意味があるのだろうか。
いつかはわかるときがくるのだろうか。
今の自分にはわからなくとも…いつかは。
でも、どれだけ待てばいい?
何もわからないまま、夜は静かにふけていく……
PR
COMMENT
03 | 2025/04 | 05 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 |
リンクはHPのリンクページに
貴方は 人目のお客様
プロフィール
誕生日:08/12/01
HP:水夢 -水の見る夢-
足跡:
42 09 21 06 23 41 42 39 24 17 20 40 42
-NPC-
うさぎ:ライラ、リナ、ルナ、レナ、ロビン
保護者:ロスト
家族募集してみる。
活動範囲が被る人優先。
即決はあまりないけど、まずは気軽に声かけて下さいね。
最新コメント
[05/05 レイ]
[05/03 某人形遣い]
[05/02 はなこ]
[04/25 レイ]
[04/24 龍珠]
注意書き
「ハンゲーム」から転載されたコンテンツの著作権につきましては、NHN Japan株式会社に帰属します。
Copyright c 2011 NHN Japan Corporation All Rights Reserved.
当コンテンツの再利用(再転載、再配布等)は禁止されております。