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消えかけた月が照らす湖面。
水に映る月を乱さぬように、レイは上空に浮かんでいた。
雪のように小さな無数の氷の粒が、柔らかくレイの周囲を舞う。
暑苦しい夏の夜。
不似合いな冷気に包まれて、細い月を見つめる。
手にした花束を両手で掲げて。
「不条理、よね。貴女の罪は私を臆病にさせる」
月に眠る彼女。
母とも呼べるその女性の生涯。
その罪の意識は、レイに常に躊躇いを強いた。
正しさを惑わせ、決断を鈍らせていた。
それはレイにとって重い鎖だった。
つい最近もまた、躊躇い故に、愚かなことをした。
けれど。
「それでも…望んでくれたの? 私を」
彼女と、ロストと。
二人は。
それを望んで。
望まれて…レイが生まれたのなら。
「…なら、仕方ない、よね」
微笑んで、掲げた両手をそっと開く。
支えるもののなくなった花束は、けれど月光に照らされたまま、レイの視線の先にあった。
しばらくそのまま月光を受け続け…
不意に、花束がはじけた。
鮮やかな花は重力を無視したまま、レイの周囲をくるくると舞う。
銀の髪に。
白い肌に。
薄い衣に。
幻想のような影を落として彩る。
「生きるよ」
レイがここにいる理由。
それはもう理解している。
生まれた経緯は、ロストが教えてくれた。
だから…。
あの消えかけた月の光と、この鮮やかな花に誓う。
「生きる。貴女の役目を受け継いで」
それが、二人の望みで。
今の私を受け入れてくれる人たちがいて。
受け継ぐものが今も…誰かの役に立っているのなら。
そこに価値を見出せる。
たとえ辛くても。
痛みと引き換えにしてでも生きるための…価値を。
「正直言えば恨んだこともあるけれど、それでも…私を作ってくれて、ありがとう」
命をくれた彼女。
体をくれたロスト。
だから私は生まれ…そして。
たとえ希望だけの道じゃなくても。
この先も、生きていく。
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貴方は 人目のお客様
誕生日:08/12/01
HP:水夢 -水の見る夢-
足跡:
42 09 21 06 23 41 42 39 24 17 20 40 42
-NPC-
うさぎ:ライラ、リナ、ルナ、レナ、ロビン
保護者:ロスト
家族募集してみる。
活動範囲が被る人優先。
即決はあまりないけど、まずは気軽に声かけて下さいね。