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生きた人形
今日の分の報告を石に封じ、リュークはため息をつく。
報告内容は簡単なものだ。
会議室でどんな行動をしたか。
家族との会話。
勤務状況。
畑の作物の育ち具合。
経験値の取得結果…。
そんな毎日の、ごく当たり前の行動が石に詰め込まれている。
けれど、それは自分の情報ではない。
他人の情報を収集し、それをリュークは別の存在へ渡す。
正直、あまり楽しい仕事ではない。
いま、リュークはゴルデンにあるレイの家にいる。
レイは家族の家へ遊びにいったばかり。
しばらく帰ってこないことはわかっていた。
だからリュークは呪文を紡ぐ。
別の世界と繋がる、光の玉を出現させるために。
それが彼女に与えられた仕事だからだ。
レイには知られてはいけない、秘密の…。
「グレン?」
光の玉に声をかける。
いつもなら玉が出現すると同時に相手の姿が映るが、今日は少しタイミングが悪かったようだ。
「…少し待て」
声だけ届き、数分待たされてから、やっと相手が…グレンフィールドが現れる。
「すまない。状況はどうだ」
「ここのところ変わらないわね。ほぼいつもどおりよ」
リュークは前足で石を弾いて飛ばすと、石は玉を抜け、相手側へとストンと落ちた。
グレンフィードはそれを拾い、情報を読み取る。
「…すこし活動が減っているようだな」
「そうね。ちょっと忙しいのかも。…あの方は、なんて言ってたの?」
「好きにさせておけと」
「そう。そのほうが助かるわ、私も。……グレンは気に入らないのかもしれないけど」
「なぜそう思う」
グレンフィールドは軽く眉根を寄せた。
「なぜも何も」
相手が不機嫌になったことも、リュークはとくに気にしない。
「あなた、彼女をただの人形としか見てないでしょう」
「人形だろう。あの方によって作られただけの」
「でも生きてるもの」
ただの人形ではない。
生きて、自分で考えて動く。
たとえその結果、創造者の希望にそぐわない結果になったとしても。
それは全てが必然のはずだ。
「だってそうでしょう? 全てを思い通りに動かさせたいのなら、感情なんて最初から与えなければいいだけ。そうしなかったのは、あの方で。…だからこれは、あの方が選んだ結果のはずだわ」
言われて、グレンフィールドは考え込む。
確かに彼の主は、自由を与えるのかという質問に、『そうあるべきだ』と答えていた。
なぜなのだろう。相手は人形なのに。
人形、のはずなのに。
「判らなくてもいいけどね。でも、これこそがあの方の望むコトなんだと思うよ」
「喜んではいなかった。歓迎された結果ではない」
グレンフィールドの反論に、リュークは『だめだこりゃ』と思う。
多分今の彼に説明してもわからないだろう。
自分の考えと主の選ぶ答えが違うということを、理解できていないようだ。
選択肢はひとつだけじゃない。石頭のままでは、それに気付けないだろう。
いつかもう少し自由な発想を持てるようになったとき、見えてくるものが変わるはず。
今はそれに期待しよう。
「まぁ、とりあえず報告は以上よ。そっちから他に何かある?」
相手からの否の返事を受け、軽く挨拶をしてから通信を終了させた。
「どうも、なぁ…」
つぶやく声に力はない。
「なんだか見通し甘くなさそうよ? レイ…」
いまだ家主の帰らぬ大農場で、リュークは苦笑いを浮かべた。
レイは家族の家へ遊びにいったばかり。
しばらく帰ってこないことはわかっていた。
だからリュークは呪文を紡ぐ。
別の世界と繋がる、光の玉を出現させるために。
それが彼女に与えられた仕事だからだ。
レイには知られてはいけない、秘密の…。
「グレン?」
光の玉に声をかける。
いつもなら玉が出現すると同時に相手の姿が映るが、今日は少しタイミングが悪かったようだ。
「…少し待て」
声だけ届き、数分待たされてから、やっと相手が…グレンフィールドが現れる。
「すまない。状況はどうだ」
「ここのところ変わらないわね。ほぼいつもどおりよ」
リュークは前足で石を弾いて飛ばすと、石は玉を抜け、相手側へとストンと落ちた。
グレンフィードはそれを拾い、情報を読み取る。
「…すこし活動が減っているようだな」
「そうね。ちょっと忙しいのかも。…あの方は、なんて言ってたの?」
「好きにさせておけと」
「そう。そのほうが助かるわ、私も。……グレンは気に入らないのかもしれないけど」
「なぜそう思う」
グレンフィールドは軽く眉根を寄せた。
「なぜも何も」
相手が不機嫌になったことも、リュークはとくに気にしない。
「あなた、彼女をただの人形としか見てないでしょう」
「人形だろう。あの方によって作られただけの」
「でも生きてるもの」
ただの人形ではない。
生きて、自分で考えて動く。
たとえその結果、創造者の希望にそぐわない結果になったとしても。
それは全てが必然のはずだ。
「だってそうでしょう? 全てを思い通りに動かさせたいのなら、感情なんて最初から与えなければいいだけ。そうしなかったのは、あの方で。…だからこれは、あの方が選んだ結果のはずだわ」
言われて、グレンフィールドは考え込む。
確かに彼の主は、自由を与えるのかという質問に、『そうあるべきだ』と答えていた。
なぜなのだろう。相手は人形なのに。
人形、のはずなのに。
「判らなくてもいいけどね。でも、これこそがあの方の望むコトなんだと思うよ」
「喜んではいなかった。歓迎された結果ではない」
グレンフィールドの反論に、リュークは『だめだこりゃ』と思う。
多分今の彼に説明してもわからないだろう。
自分の考えと主の選ぶ答えが違うということを、理解できていないようだ。
選択肢はひとつだけじゃない。石頭のままでは、それに気付けないだろう。
いつかもう少し自由な発想を持てるようになったとき、見えてくるものが変わるはず。
今はそれに期待しよう。
「まぁ、とりあえず報告は以上よ。そっちから他に何かある?」
相手からの否の返事を受け、軽く挨拶をしてから通信を終了させた。
「どうも、なぁ…」
つぶやく声に力はない。
「なんだか見通し甘くなさそうよ? レイ…」
いまだ家主の帰らぬ大農場で、リュークは苦笑いを浮かべた。
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プロフィール
誕生日:08/12/01
HP:水夢 -水の見る夢-
足跡:
42 09 21 06 23 41 42 39 24 17 20 40 42
-NPC-
うさぎ:ライラ、リナ、ルナ、レナ、ロビン
保護者:ロスト
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