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主従
グレンフィールドは振り仰ぎ、太陽の位置を確認した。
(そろそろ来る頃だろうか)
用意をしようと体を起こしたとき、それが事実であることを感覚が教える。
(ああ、もうだいぶ近いようだ…急がなくては)
すぐに人型を取り、予定された小屋を整え、湯を沸かす。
最近はこれが日課になっていた。
最初の頃はなぜ主が茶などを好むのかわからなかった。
彼らにはその習慣がない。
彼らの体は、そういうことに適した作りではなかった。
喉が渇けば清水を飲めばいい。
甘いものが欲しくなれば果実を食せばいい。
何かを自分で作るということはしないし、そういう概念もない。
茶や菓子を用意するには、わざわざ人型を取る必要がある。
なぜこんなめんどくさいことを…。いつも彼はそう思っていた。
(そろそろ来る頃だろうか)
用意をしようと体を起こしたとき、それが事実であることを感覚が教える。
(ああ、もうだいぶ近いようだ…急がなくては)
すぐに人型を取り、予定された小屋を整え、湯を沸かす。
最近はこれが日課になっていた。
最初の頃はなぜ主が茶などを好むのかわからなかった。
彼らにはその習慣がない。
彼らの体は、そういうことに適した作りではなかった。
喉が渇けば清水を飲めばいい。
甘いものが欲しくなれば果実を食せばいい。
何かを自分で作るということはしないし、そういう概念もない。
茶や菓子を用意するには、わざわざ人型を取る必要がある。
なぜこんなめんどくさいことを…。いつも彼はそう思っていた。
しかし、最近はそんな考えも変わってきている。
何も判らないまま、草を水に浸しただけの茶は、当然主に『まずい』と批評された。
興味がないからといって、主に不満を持たせるわけにはいかない。
主が帰った後、彼は一人で何度も試行錯誤を繰り返した。
そのうちに限界に突き当たり、部下からできる限りの情報を集めた。
草だけでなく、実や根も試した。
乾燥させること、炒ることも試した。
水ではなく湯を試し、その温度も様々に変えて試した。
その全ての味を自ら確認しているうちに、ふと彼は気付く。
いつの間にか自分が、作ること、味わうことの楽しみを知るようになっていったことに。
低く笑って、今日の茶は何にしようと考えているときに、小屋のドアが開いた。
ノックも何もない。
けれどグレンフィールドは驚かない。
主がついたことは、見なくても判っていた。
顔を上げると同時に、主へと声をかける。
「ちょうど今日の茶を迷っていたところですよ。何か希望はありますか?」
主は笑って首を振った。
「いや、任せる。もう変なもの出される心配もないしな」
グレンフィールドは軽く頭を下げて、茶葉といくつかの乾燥果実を選び、爽やかな香りを放つ茶を淹れた。
「ところで、今日の分です」
1杯目の茶を空にした時点で、彼はコトリと石を机に置く。
主が石を手に取り、封じられた情報を読み取っているうちに、2杯目を注ぐ。
「……なるほど」
情報を読み取った主は、軽く眉を顰めて、新しい茶に手を伸ばす。
しかし意識は情報に向かっているのか、味わっているという様子はなかった。
それが判っていたから、グレンフィールドは主が1杯目を飲み終えるまで待っていたのだ。
「どうしますか?」
簡潔な問い。主は小さくため息をついて、天井を見つめる。
「どうもしない。好きにさせておけ」
「人形ならば、手繰る糸が必要なのでは?」
「そんなつもりで作ったわけじゃない」
「自由をと?」
「そうあるべきだ」
「…了解しました。では監視者にそう伝えておきましょう」
グレンフィールドは自分の分の茶を淹れる。
この主は、あまり上下関係に気を使わない。
だからこそこうやって、同じテーブルで茶を飲むこともできる。
主は型破りで新鮮な存在だった。
けれどグレンフィールドは、そういう部分も含めこの主気に入っていた。
現在力の大半を失っている主の下につく者は少ない。
しかしグレンフィールドには、他の主に変えることなど考えることもできない。
彼が抱く感情は、もしかしたら主従というよりも友情に近いものかもしれなかった。
何も判らないまま、草を水に浸しただけの茶は、当然主に『まずい』と批評された。
興味がないからといって、主に不満を持たせるわけにはいかない。
主が帰った後、彼は一人で何度も試行錯誤を繰り返した。
そのうちに限界に突き当たり、部下からできる限りの情報を集めた。
草だけでなく、実や根も試した。
乾燥させること、炒ることも試した。
水ではなく湯を試し、その温度も様々に変えて試した。
その全ての味を自ら確認しているうちに、ふと彼は気付く。
いつの間にか自分が、作ること、味わうことの楽しみを知るようになっていったことに。
低く笑って、今日の茶は何にしようと考えているときに、小屋のドアが開いた。
ノックも何もない。
けれどグレンフィールドは驚かない。
主がついたことは、見なくても判っていた。
顔を上げると同時に、主へと声をかける。
「ちょうど今日の茶を迷っていたところですよ。何か希望はありますか?」
主は笑って首を振った。
「いや、任せる。もう変なもの出される心配もないしな」
グレンフィールドは軽く頭を下げて、茶葉といくつかの乾燥果実を選び、爽やかな香りを放つ茶を淹れた。
「ところで、今日の分です」
1杯目の茶を空にした時点で、彼はコトリと石を机に置く。
主が石を手に取り、封じられた情報を読み取っているうちに、2杯目を注ぐ。
「……なるほど」
情報を読み取った主は、軽く眉を顰めて、新しい茶に手を伸ばす。
しかし意識は情報に向かっているのか、味わっているという様子はなかった。
それが判っていたから、グレンフィールドは主が1杯目を飲み終えるまで待っていたのだ。
「どうしますか?」
簡潔な問い。主は小さくため息をついて、天井を見つめる。
「どうもしない。好きにさせておけ」
「人形ならば、手繰る糸が必要なのでは?」
「そんなつもりで作ったわけじゃない」
「自由をと?」
「そうあるべきだ」
「…了解しました。では監視者にそう伝えておきましょう」
グレンフィールドは自分の分の茶を淹れる。
この主は、あまり上下関係に気を使わない。
だからこそこうやって、同じテーブルで茶を飲むこともできる。
主は型破りで新鮮な存在だった。
けれどグレンフィールドは、そういう部分も含めこの主気に入っていた。
現在力の大半を失っている主の下につく者は少ない。
しかしグレンフィールドには、他の主に変えることなど考えることもできない。
彼が抱く感情は、もしかしたら主従というよりも友情に近いものかもしれなかった。
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貴方は 人目のお客様
プロフィール
誕生日:08/12/01
HP:水夢 -水の見る夢-
足跡:
42 09 21 06 23 41 42 39 24 17 20 40 42
-NPC-
うさぎ:ライラ、リナ、ルナ、レナ、ロビン
保護者:ロスト
家族募集してみる。
活動範囲が被る人優先。
即決はあまりないけど、まずは気軽に声かけて下さいね。
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