月のない夜

その日、レイは重い足取りで帰宅した。
身を投げ出すように寝台へ横たわる。

「これで…よかったのかな…」

自分の選択は。
選びとった道は。

引越し

昨夜、レイは友人の家への引越しをした。
半月以上予定はずれたが、なんとか無事完了。
広い部屋にうさぎたちを放し、お気に入りの装飾品を飾る。

月下の歌

歌が、聞こえた気がした。
囁きにも似たかすかな歌が。

金木犀が彩る湖畔。
周囲に人の姿はない。
強い芳香の中、花に酔ったのだろうか？

消えかけた月

月例２７。
消えかけた月が照らす湖面。
水に映る月を乱さぬように、レイは上空に浮かんでいた。

想像の限界を超えて

海の旅は、予想以上に快適で早かった。

丸1日かかるかと思っていたネウガード上陸は半日で済んだ。
食料調達と情報収集で時間を費やし、夜にはまた出発。

このとき、事前に予定していた到着時刻とほぼ同じ時間だった。

旅立ち

先ほど、生まれ育った国を出た。
無我夢中でカーシャにたどり着いた初日を抜かせば、初めての、国に庇護されない生活が始まる。

海岸に座り、月が照らす海を眺める。
マリアンルージュまでは、3日間を想定しているが…。
改めて地図を見やり、さてどうしようかと眉を顰めた。

ウサギ

国を出ると伝えたその日、届いたのは一匹の白兎だった。
レイが連れ帰ったそのウサギを見て、ロストは軽く目を見張る。

「どうしたんだ、それは」

問いかけにレイは笑った。

「うん、私がウサギ好きだって知ってる人がね。出奔のご挨拶にって、くれたの。可愛いでしょう？」
「そりゃ…可愛いが…」

人物（？）名簿のようなもの

ＳＳ等に出てくる名前を、簡単に紹介してみる。
今更新しく出すのもあれなので、7月25日の、作成損ねた日付を利用。

8月4日現在での説明となります。

君が傍にいてくれれば

忘れてない。
彼女が眠った日のこと。

忘れてない。
ただ一人、月を見上げた日のこと。

忘れてない。
この呼び声に君が応えてくれた日のこと……

むーりーやーりっ

再会、させてしまいましたっ。

再会のための扉

目の前に扉があると信じ、認識すること。
それは、世界すら超え……。

目的のものへと続く扉。

暗闇の中で

過去
それは過ぎ去ったもの
触れられぬ幻
記憶

未来
それは訪れるもの
無限の選択
夢

過去に痛みがあるならば
それを学ぼう
繰り返し起きる災いを
未来で断ち切れるように

過去に喜びがあるならば
それを学ぼう
漣に寄せる幸運を
未来で掴み取れるように

祈る
ただ祈る

大切な人達が笑顔であるように
そしてその横に
自分が笑顔でいられるように

誰かのため
そして自分のため

それはエゴであるかもしれない
けれどそれでも

月が満ち欠けを繰り返すように
運命もまた繰り返されるなら

私は剣を持とう
私は楯を持とう
過去を学び
未来に生かそう

一人ではないと
信じていられるうちは

小さな

小さな小さな
それは本当に小さな
顔を出したばかりの新芽

まだ太陽を浴びておらず
白いままの先端が
僅かに土から顔を出している

やがて日が昇り
雨が降る

それらを吸収し
芽は大きく育つだろう

大地から養分を奪い
蕾をつけ
花を咲かせ
種をつけ
増え続ける

そうなる前に決めなくては

この顔を出したばかりの新芽を
摘み取るのか否か

決断は迅速さを要求される

いまこの時にも
養分は奪われ続けるのだから

水の蝶

ふわり、と。
蝶が舞う。

青き光を撒きながら。

美しい蝶が舞う。

月と雪のエレメント

カタリ。
小さな音を立てて、宝石箱を開く。

箱の中には、宝石の代わりに、エレメントがふたつ。
薄青く冴えた輝きを放つ『月』。
白銀の清冽な煌きを放つ『雪』。