忍者ブログ

カテゴリー「SS・詩」の記事一覧
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

深夜――十二夜の月が照らす湖。
その湖面。
つま先がギリギリ触れぬ位置に、静かに少女が浮かんでいた。

少女は深く息を吸うと、伸ばしたままの手を軽く横に広げる。

「水よ…我が名に従い、我が祈りに応えよ…我が名は――――――」

少女が名乗ると、彼女の左右から2本の水が蛇のように伸びた。
水の蛇をそれぞれの手で制し、振り上げるように顔の前で手を交差させる。
蛇は彼女を中心として渦を巻く。
激しい動きに散った水滴が、月光を映して煌いた。

しかし……。


PR

・・・つづきはこちら

夜の闇
月明かり

舞い散る薄紅の花びらは
手向けのように降り積もる

春に降る雪のように
それはまるで
この世界の全てを
己の色で染め上げるように

・・・つづきはこちら

薄紅に染まる視界
舞い散る花吹雪
伸ばしたこの手は
お前の手に届かなかった

・・・つづきはこちら

深い森の奥。
人形と見なされた少女が抱える死の可能性を指摘し、王は笑って言った。

「私にその人形をよこさないか」

と。
 

・・・つづきはこちら

その日の茶室は、いつもとまた違う楽しさがあった。
それぞれがいつもと違う髪形になっていたのだ。
きっかけは、ワーキャットが美しき魔人に捕まったこと。
それが流れ流れて、その場の全員が髪型を変更されるという事態に陥った。

が。
それを心から楽しんでいたのがレイである。
レイは今、髪をふたつに分けられ、それぞれ頭の上で丸められている。
レイから見れば、それはちょうど熊のぬいぐるみの耳のような形に見えた。

「熊さん耳♪」

帰宅後も飽きずに鏡の前でクルクルと回っては、耳のような髪型を楽しんでいる。
リュークが呆れて溜息をついた。

・・・つづきはこちら

そこは美しい森だった。
雄雄しい大樹が根を張り、様々な花が咲き乱れ、果実はたわわに稔り、香草が香りを振りまく。
様々な植物が同時に存在しながらも、調和を崩さない森。

この森が、自分を呼び出した相手のものでなければ…。
訪れる度にそんな感情が生まれる。

とても素晴らしい森。
けれど所有者故に、訪れたいとは思わせない森。
進むほどに気分が沈んでいく。

・・・つづきはこちら

彼は不機嫌だった。
これ以上はないというくらいに不機嫌だった。

理由は簡単だ。
誰よりも会いたくない相手に呼び出されたためだ。

「まったく、何の因果だか…。…ちくしょう」

毒づいて、ふわりと飛び立つ。
望まない会合へ向かうために。

どんなに嫌な相手だとしても、会わなくてはいけない。
今の彼には、責任という重く頑丈な鎖が絡まっている。
自分の感情のみで行動を決める立場ではない。

「本当に、なんでこんな…」

青く済んだ空に身をゆだねながら、意識は全てを決定付けた過去へと向かった。

・・・つづきはこちら

今日の分の報告を石に封じ、リュークはため息をつく。

報告内容は簡単なものだ。
会議室でどんな行動をしたか。
家族との会話。
勤務状況。
畑の作物の育ち具合。
経験値の取得結果…。
そんな毎日の、ごく当たり前の行動が石に詰め込まれている。

けれど、それは自分の情報ではない。
他人の情報を収集し、それをリュークは別の存在へ渡す。
正直、あまり楽しい仕事ではない。

・・・つづきはこちら

グレンフィールドは振り仰ぎ、太陽の位置を確認した。
(そろそろ来る頃だろうか)
用意をしようと体を起こしたとき、それが事実であることを感覚が教える。
(ああ、もうだいぶ近いようだ…急がなくては)
すぐに人型を取り、予定された小屋を整え、湯を沸かす。
最近はこれが日課になっていた。

最初の頃はなぜ主が茶などを好むのかわからなかった。
彼らにはその習慣がない。
彼らの体は、そういうことに適した作りではなかった。
喉が渇けば清水を飲めばいい。
甘いものが欲しくなれば果実を食せばいい。
何かを自分で作るということはしないし、そういう概念もない。

茶や菓子を用意するには、わざわざ人型を取る必要がある。
なぜこんなめんどくさいことを…。いつも彼はそう思っていた。

・・・つづきはこちら

「つまり、召喚というのは、相手にどれだけ興味と好意を持たせるかによって決まるのよ」

リュークが絨毯の上にちょこんと座りながらレイに説明する。

「レイは正直言って、ドがつくほどの素人よね」
「う゛…そ、そうね…」
「落ち込んでる場合じゃないの。現状を正しく理解することが大事なの」
「はいです…」
「よし。……基本的にね。いまのレイに呼べる相手はいないでしょうね」

リュークはきっぱりと現実を突きつける。
けれどそれは当然のこと。
召喚という能力が自分にあることすら知らなかったレイに、いきなり何かを呼び出せるわけもない。

・・・つづきはこちら


……深夜……

不意にレイは目が覚めた。
ベッドの中、半身を起こし、両手で顔を覆う。

また、あの夢を見た。

溜息をつく。
深い、深い息。
一緒に胸の中の澱も出て行ってくれればいいのにと思う。
けれどそれは叶わない。
その澱がどうやって発生するのかもわからないのだ。
発生も正体も不明の澱。そんなものの排出方法など…わかるわけがない。

あの夢を見た後はいつもそうだ。
目が覚めた瞬間に全て忘れる、なのに、胸の中に澱だけが残る…夢。

・・・つづきはこちら

なんとなく手持ち無沙汰だったので、湖畔の散歩に出かけた。
自然に満ち溢れ、汚染とは無縁の、水の気配に満ちた気持ちの良い場所。
やはりここを選んで正解だったと思う。

作物は日々その品質を良くしているように思える。
引っ越して2日目だというのに、すでに品質は6-。
この分ならすぐに最高品質まで上がるだろう。
きっと収穫数も期待できるんじゃないかな。

湖の淵に座り、ぼんやりと水に映る月を眺める。
あたりに漂う霧が風景をさらに幻想的に見せていた。
なんて綺麗なところなんだろう。

どれだけそうしていただろうか。
ゆっくりと湖上の霧が集まってきた。
微笑んで手を伸ばすと、そっと手が上向けられ、そこに霧が溜まり水となった。
空気中に漂っていたとは思えない、綺麗に澄んだ水。

「飲めってことかな?」

問うと、答えるように残りの霧が寄り添う。
銀の髪に水滴が付着し、月の光を浴びて宝石のように煌めく。
感謝を込めてもう一度微笑を浮かべ、手のひらに溜まった水に口をつけた。
甘く、まろやかな極上の水。

「ありがとう」

思いがけない歓迎がとても嬉しかった。

・・・つづきはこちら

 自分を包むのが、氷の繭だという事に気付いていた。
 長い銀の髪を周囲に散らしながら、繭の中に膝を抱えた姿勢で浮かんでいる。
 なんの不安もない。
 硬い氷も、決して自分を傷つけないということを知っている。
 自分が氷と…いや、その基本となる水と同じ属性をもつものだということ。
 一般的に水の精霊と呼ばれる存在であることを、既に私は知っていた。




 それはまだ私がこの世に生まれ出る前。
 極寒の大地の底。氷ばかりの空間。
 私はそこで造られ…そこで生まれるために眠り続けていた。

 長い眠りの期間。
 けれどやがてその眠りも醒めときが来る。

 これはその直前の出来事。
 確かに見た夢。
 けれど…記憶から消え去った夢…。

・・・つづきはこちら

寒い冬の朝。
白いコートで雪原を散歩する。
ここの水は、今は静かに眠っている。
とても穏やかだ。

振り仰げば、やわらかい光を投げかける太陽。
その、光。

私はそれに手を伸ばす。
確かにそこにあるのに…なのに。
掴めない。

触れて…暖かいのに。

捕まえられては、くれない。
するりとかわされる様に。
握ったこの手の中には…いてくれない。

・・・つづきはこちら

けれど、『彼』はまだ見つからない。
会ったのはただ一度だけ…ほんの少しだけしか傍にいてくれなかった、私の創造主。

交わした言葉も少なかった。
『彼』は私に名前をくれた。
そして、紅玉の首飾りを、私の首にかけてくれた。
決して無くしてはいけないよ、と言って。

生まれたばかりの私は、頭がぼうっとして…状況を考えることができなかった。
今なら色々聞けるのに、その時はただ頷くしかできなかったのが、悔しい。

そのときのことを、思い出す。
私は本当に何もできないままだった…。

・・・つづきはこちらから

  
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31


リンクはHPのリンクページに

貴方は 人目のお客様
プロフィール
名前:レイ・フェイク
誕生日:08/12/01
HP:水夢 -水の見る夢-
足跡:
42 09 21 06 23 41 42 39 24 17 20 40 42
-NPC-
うさぎ:ライラ、リナ、ルナ、レナ、ロビン
保護者:ロスト
家族募集してみる。
活動範囲が被る人優先。
即決はあまりないけど、まずは気軽に声かけて下さいね。
最新コメント
[05/05 レイ]
[05/03 某人形遣い]
[05/02 はなこ]
[04/25 レイ]
[04/24 龍珠]
注意書き
ハンゲーム」から転載されたコンテンツの著作権につきましては、NHN Japan株式会社に帰属します。 Copyright c 2011 NHN Japan Corporation All Rights Reserved. 当コンテンツの再利用(再転載、再配布等)は禁止されております。
Copyright ©  -- 真実と偽りの境界線 --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by petit sozai emi / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]